紀元前にはじまる製紙の歴史のなかで、技術の進展とともに、その用具もまたそれにふさわしいものに改良されてきました。初期には、紙漉き工自身が用具をつくってたと想像されますが、やがで用具つくり専門の職人が生まれます。
彼らの技術は地道ですが、きわめて精妙であり、昭和50年(1975)に土佐手漉和紙用具製作技術保存会が記録作成等の措置を講ずべき無形文化財に選択され、さらに翌年には、高知県に事務局をおく全国手漉和紙用具製作技術保存会が文化財保存技術保持団体に認定されました。現在事務局は高知県手すき和紙協同組合内にあります。
絹紗織りの山崎鶴亀氏は個人でも技術保持者に選定された。そのころ全国に41人の職人がいて、簀編みや桁つくりは主要産地に分散しており、竹ひご・萓ひご・編糸・絹紗織りなどの基本素材の職人は高知県だけにしかいませんでした。いわば一貫して用具をつくれるのは高知県だけであり、全国の和紙業界を高知県の用具つくりの技術がささえているといえます。 |
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