◆たて糸づくり
撚りの入った生糸六十八本をもつれないように糸くばりを通過させ、手台に延べる。手台の両側の棒に糸をかけながら一巡すると、本アゼ・仮アゼを取って、一巡目の糸と二巡目の糸をもつれないようにしながら、たて糸を延べる。

◆アゼとり
本アゼとはたて糸を延べる時、各糸の順序を狂わせないようにするために行う作業で、仮アゼとは、本アゼを取った一束の糸を区分するための作業である。

◆織機にたて糸をかける
手台に延べられた糸を順序よく取りはずして、織機のチギリ(木製のロール)に巻きつける。この時、たて糸の張りを調節しながら徐々に巻きつけなければならない。

◆絹紗織り
絹紗の織り方は麻の絽織りと同じように、よこ糸がたて方向に動かないように織られている。

◆絹紗の柿渋加工
絹紗のたて糸とよこ糸がずれないように柿渋で固着する。柿渋加工を施すことによって、絹紗は保存性が高まり水になじみやすくする。
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◆銅棒を焼く
漉桁に使われる金具は、すべて銅棒を加工して掛け金や取手金具をつける。燃料は火力の弱い木炭を用い、ふいごで風を送る。

◆銅棒を叩く
炭火で焼かれた銅棒を力強く叩きながら銅をなめし、成型しやすくする。

◆金具の成型
銅棒を叩きながら成型する。型の整った金具は、再度炭火で焼いたのち、水で急激に冷やし固める。

◆金具の各種製品
漉桁一式に使われる金具〜掛け金・座金・取手金具・蝶番・束釘。
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◆淡竹の生育場所
竹ひごに使われる淡竹は、堅くて節間が四十五センチ以上必要なため、竹林の竹ではなく、杉や桧と混植されている淡竹をさがす。

◆竹をそぐ
竹の表皮と肉質部を鎌でそぎ落とし、ねばり強い部分だけを残した薄い一枚の竹片とする。

◆竹片の先端を割る
薄い竹片の先端部に、突き割り器と呼ばれる用具で割れ目をつける。

◆ひごを抜く
角ひごをひご抜き器の細い穴に通し、ペンチで手前に引き抜く。ひごはこの細い穴を二〜三回通して、丸いひごとする。

◆竹ひごの仕上げ
板の上で竹ひごをもみ、ひごの表面のケバなどを除き、表面を滑らかにする。
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◆萓の採集場所
萓簀に使われる萓は、やせ地の霜の遅い土地に生育するものがよく、丈夫で細い穂軸を採集する。

◆萓の採集
萓の葉を除きながら穂軸を引き抜く。穂軸は曲りのない細身のものだけを採集する。

◆穂先の切除
握りバサミで一本ずつ花穂を除きながら、再度検査して不良品を取り除く。

◆萓ひごの先端を揃える
萓ひごの先端を真直ぐに切り揃えながら指先の感触でひごを分類する。萓ひごの太さは、ふつう八種類に分けられる。

◆竹ひごで継ぐ
細い竹ひごを萓ひごの中心部に差し込み、もう一本の萓ひごを逆方向から差し込んで継いでゆく。この時継ぎ目にすき間のないよう正確に継ぐことが大切である。
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◆生糸の撚りかけ機
竹ひご・萓ひごを一本ずつ編んでいく糸は、生糸で作られる。生糸に撚りをかけるため撚りかけ機に生糸を延べる。

◆生糸を撚る
撚りかけ機を回転させ、下撚りをかけたのち、四本束にして逆方向に上撚りをかける。

◆撚り糸の水煮
撚りをかけられた編糸は、約二十分間煮沸して生糸に含まれているセリシン(動物性タンパク質)を溶出させ、生糸同士を固着させる。

◆編糸の乾燥
撚りのかかった編糸を強く引き延ばし、編糸一本の長さを四十九メートルに延べ、風乾する。
 
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◆ひごの先端を揃える
簀編み作業は非常に根気のいる仕事で、ふつう一枚の簀を編むのに六〜一〇日間かかる。簀編み作業に入る前に、まず竹ひごの長さを揃える。

◆通しひごと親骨
簀の両端につけられる親骨に、長い通しひご(しのべ竹)をナイロン糸で編む。

◆土のこで編む
編糸に土のこと呼ばれるおもしをつけ、一本一本のひごを規則正しく編んでいく。この土のこは、ひごや編糸の太さによって重量を違え、編糸のしまり具合を加減する。

◆簀を編む作業
編糸のついた土のこを前後に置きかえながら規則正しくひごを編んでいく。簀の左右の編幅をときどき確認しながら、絹糸のしまり具合を調整する。


◆簀の仕上げ
編みあがった簀の幅を調整するため、水に漬けたり熱湯をかけたりして寸法を安定させ正確に所定の編幅になるように仕上げる。
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◆官材の桧
桁に使用される材は、樹齢四〇〇年以上の官材の桧で、しかも数年間風乾させた、狂いのないものを吟味して桁材とする。

◆材のカンナかけ
桁は紙料液を汲み込んだ時に紙料液の重みで湾曲するため、あらかじめ逆方向に湾曲した桟を作る。

◆桁に金具をつける
桁には、上桁と下桁を開閉させる掛け金二丁と蝶番五枚、桁を持ち上げる握り棒のもとに取りつける取手金具四丁、小ざるに使われる銅線と束釘などの金具が用いられている。

◆桁の仕上げ
桁には大量の紙料液が汲み込まれるため、桁は軽くて丈夫に作られている。また簀と桁との間にすき間がないようにしっかりと簀をはさみ、しかも簀をいためないように仕上げなければならない。
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◆馬毛の整頓
湿紙を板や乾燥機に張るために、馬毛で作られた刷毛を用いる。シュロ刷毛や稲穂で作られた刷毛を用いる場合もある。

◆馬毛の切断
馬毛を洗剤などでよく洗い、くしで毛の並びをよくする。その後、毛の先端部の方から所定の長さに切断し、残りの馬毛も切り揃える。

◆馬毛の調合
腰の強い刷毛を作るため、馬毛の先端部と切りそろえた基部の毛を交互に重ねる。

◆刷毛の接着
松脂(まつやに)、膠(にかわ)、金砂、椿油などの湿合液を加熱し、馬毛の基部二〜三センチの部分につけて接着する。

◆刷毛の仕上げ
接着剤が固まらないうちに、刷毛の柄を取りつけ、仕上げ作業にかかる。
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